不思議な話 その242 H・Gウェルズの予言(3)

H.Gウェルズは、『タイムマシン』以降、現代SF小説の原型ともいえる作品を、多く書いています。『宇宙戦争』、『モロー博士の島』、『透明人間』、『月世界最初の人間』など、今あるSF小説や映画、アニメの筋書きの原型は、ウェルズが作りました。

ウェルズの作品はそれぞれ、科学に精通していないと、書けない内容です。ウェルズは題材を当時の世の中に無い、全く、新しいものにしました。当時彼の執筆活動を支えたのは、恋人のエイミーでした。彼女は信頼のおけるウェルズ作品の批評家でもありました。1895年にウェルズは、前の妻、イザベルと離婚して、エイミーと結婚しました。

ウェルズには、1901年に長男、2年後に次男が生まれました。彼の小説のテーマは、テクノロジーの発達、地球規模の戦争、不安定な世の中を救うのは、進化した社会だと彼は考えました。彼は、「世界国家」という造語を考えました。彼はSF小説の他に、自伝的小説も書きました。ウェルズは、イギリス文学界を代表する人になり、彼の作品は、国中の人が読みました。さらに彼は、性の開放を小説にしました。フェミニズムの象徴ともなりました。彼はイギリスの古くからのしきたり、家長制度への批判、男女の自由なセックス、避妊の擁護、という現代では一般的なことを、当時の世の中では考えられない活動をしました。彼は自由に愛し合おうと言って、実生活でもそのように行動しました。エイミーはウェルズと別れたくなかったので、彼がそとに愛人を持つことを容認しました。エイミーの結婚生活の条件は、一緒にいる時間を作ることと、浮気を隠さずに話すことでした。ウェルズは、愛人を何人も作り、アンバーという女性とは、1912年まで続きました。

『タイムマシン』の作品以降、ウェルズは、「人類が危機にある」と訴えました。彼が予言した通り、世界では、1914年に第1時大戦が始まり、1918年に終わりました。ウェルズは第1時大戦前に、『陸の甲鉄艦』という小説をもう書いていて、それは第1時大戦と同じ状況を書いていました。彼は、小説を書いた当時にはなかった「戦車」のことを書きました。

『空中戦争』では、ウェルズは、執筆当時にはなかった、戦闘機での戦いを描きました。ウェルズの警告に反して、第1時大戦は、「戦争を終らせる戦争」と呼ばれました。ウェルズは、滅亡の危機を味わった人類は、平和な世界国家を構築するだろうと期待したのです。彼は未来の人類の存続が、危機にあると考えました。彼は、戦争の体験を反省して、強力な世界国家を考えました。彼は、その著作や講演から、「世界の合衆国」を考えました。ウェルズは、もしそれが実現できたら、世界中から戦争をなくせると考えました。彼は、『世界史外観』を書き、世界中のあらゆる文明の歴史をたどりました。

彼の私生活では、多くの女性達が彼を崇拝しました。妻と愛人の二重生活で、オープンマリッジをしていました。彼の妻のエイミーは夫に愛人がいても気にしませんでした。その後エイミーはガンで亡くなりました。妻を亡くしてウェルズは、エイミーがかけがえのない存在だったことに気づきました。ウェルズは妻が亡くなって、重度のうつ病になり、糖尿病でもありました。彼は糖尿病の会を立ち上げました。

1933年ドイツではアドルフ・ヒットラーが現れ、ウェルズは同年『世界はこうなる』という未来小説を書きました。これは、予言でもあると言われ、1936年に映画化もされました。私もこの本を買って読んでみましたが、とても難解です。

この『世界はこうなる』では、世界の予言のような未来が書いてありました。第二次世界大戦の予言や、ロンドンへの大空襲、それらは、まるで見てきたようなリアルな描写で戦争のことについて書いてありました。ウェルズ原作の映画も、まるで、第2次世界大戦そのものでした。なぜか彼は、何が次に起こるのか知っているようでした。

この『世界はこうなる』では、未来の世界国家について、描かれていました。その世界は、高度な技術を持つ、エリート集団の世界です。映画の封切りから数ヶ月後、ウェルズは70歳になり、イギリス文学界の長老になりました。1938年10月30日、アメリカのラジオ放送で、H・Gウェルズの『宇宙戦争』が俳優オーソン・ウェルズの朗読で、放送されました。アメリカ東部の人々は、本当に起ったことなのかと、パニックを起こしました。これは、ハローウィンの企画でしたが、飛来した火星人が、光線で、人々を殺しているのを、速報で伝えるという内容になっていました。

ウェルズのアメリカからイギリス帰国後に、第2次世界対戦がはじまりました。戦争の間中、彼はロンドンに残り、彼なりのやり方で、ロンドンを守ろうとしました。

ウェルズのアメリカからイギリス帰国後に第2次世界対戦が起こり、戦争の間中、彼はロンドンに残り、彼なりにロンドンを守ろうとしました。ウェルズの最後の望みは、「世界人権宣言」の成立でした。」彼が書いた試案は、後の国際連合の、いしづえになりました。『タイムマシン』以降の著作には、人類がいずれ衰退し、絶滅する可能性があることが書かれていました。しかし、それを回避・する方法を考える価値は十分にあると言っています。

自分が見通したありのままの未来を、彼は小説の中に描きました。ウェルズは人間の存在価値を信じていました。けれども、アウシュビッツの虐殺や、広島や長崎の原爆の話を聞いて、彼は絶望したといいます。

1914年出版の『開放された世界』という作品の中で、彼は原子爆弾について、詳細な未来の描写をしていました。まだ、原爆が
世の中に知られる前です。彼が初めて書いた、原爆がその30年後に実際に使用されるとは、誰も想像できませんでした。

逆に核兵器研究者のレオ・シラートはこのウェルズの小説を参考に、原爆を製造したと言われています。

ウェルズは、人類の運命という長年の疑問の答えが、核兵器という最終兵器に左右されるかもしれないことを、知りました。彼は自宅の裏の塀に、恐竜が人間に進化する?絵を描いて、「去るときが来た」と書き残しました。

彼は「生命の終わりは決して避けられないものだ。時がくれば、チリも残さず、全てが無くなる。」と言っています。彼は晩年肝臓がんになりました。1946年8月13日に投票をしに行って、その3週間後に彼は79歳でなくなりました。

次回にH・Gウェルズのまとめと、新しいテーマを書きましょう。
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不思議な話 その241 H・G・ウェルズの未来予言(2) 

HG・ウェルズは40年以上当時の19世紀の人々を驚かせました。有名でカリスマ性のある作家です。歴史家で科学の知識もあり、未来主義者でもありました。性の開放家で、女性の権利を主張し擁護者でもありました。彼は百年後の未来の「女性運動」も見通していたのでしょうか?予言者の側面も持っていた彼は、20世紀と21世紀の姿が見えていたのでしょうか?彼は原爆や2度の世界大戦を予言し、進化した人類の理想郷を信じました。

1866年のヴィクトリア女王統治のイギリスのロンドン近郊のブロムリーで生まれました。彼の父親は植木職人、母はメイドで下層階級に属していました。両親は家財を投じ、陶磁器店を営みました。少年時代のウェルズは、その店の地下で育ちました。頭上を往来する人々を地下から格子の上を眺めて過ごしました。7歳の時に彼は、足の骨を折って、3ヶ月くらいギブスをつけて安静に過ごしました。その時何もすることがないので、ベッドで本を読んで過ごしました。彼はその時が自分の人生で転機だったと言っています。本は彼の想像力をかきたてました。10歳の頃に、彼は自分で挿絵つきの小説を書き上げました。『砂漠のデイジー』というお話でした。両親は当時店の経営に失敗し、母親はメイドの仕事に戻りました。

13歳のウェルズは、家が貧しかったので、服地店で、見習いの仕事をさせられました。ビクトリア朝の後期、商人見習いの生活は過酷だったそうです。朝7時から夜8時まで13時間労働をしていました。彼はその仕事が好きではなくて、仕事中に本を読んで怒られたり、お金の計算を間違えたりしたそうです。彼は仕事先を逃げ出して、母親の仕事先のお屋敷アップパーク邸に身を寄せました。13歳のウェルズは、邸宅の図書館へ入り込みました。アップパーク邸で多くの本を読みました。19世紀の上流社会を見て彼はこの頃から貧しさから出る道を探し始めました。

母親のサラは、息子に手に職をつけさせたくて、また、服地店にウェルズを下働きに出しました。ウェルズは、すぐにその服地店を飛び出し、仕事をやめられないなら、この人生を捨てると母を脅したそうです。勉強を熱望していた彼は、やっと希望が叶い、家庭教師兼学生になりました。彼は時間を惜しみ取り憑かれたように勉強して、中等学校の内容を、飛び級して2年で終えました。

彼は、化学、物理、天文学など、その他も全ての教科で、一番となり、表彰されました。優秀な成績で、高等学校の奨学金を獲得しました。ウェルズは、勉強で階級社会の壁を打ち破ったのです。彼は当時の科学師範大学の学生となり、給付型の奨学金をもらって、科学者への道を自ら開きました。

彼は師範学校で、科学界の有名な進化論研究者の第一人者である、ハクスリー教授に学びました。ハクスリー氏はダーウィンの弟子で、当時キリスト教社会では革命的な「進化論」の擁護者でした。ハクスリー博士は、進化論を説き、ウェルズはその話を初めて聞きました。若かったウェルズは、人間という種が、進化する中で、絶滅するのか、生き延びるのか、じっくり考えました。

未来の人類のことに魅せられたウェルズは、21歳の1887年に、学生誌に初めての著作を発表しました。タイトルは、『20世紀の物語』です。(当時は19世紀だったので、100年後の話です。)この著作は、10歳の頃に書いた、『砂漠のデイジー』の10年後の話です。

彼にとって本を書くことは、世の中の様々な疑問を解く手段になっていました。学校を出た彼は、記者になり、科学の知識を発揮しました。彼は仕事で、当時の科学の新しい発見や、発明を解読しました。教職にも就き、忙しい日々を過ごしました。

1891年に25歳のとき、メイドを解雇された母親と、商売に失敗した父親の面倒をみました。ウェルズは両親に、自分は物書きで生活していると手紙に書きました。ウェルズは、学生時代に恋におちた、イザベルという名のいとこと1891年に結婚しました。この結婚は7年で破綻しました。今でいう「性の不一致でした。」ウェルズは性に開放的で、イザベルはその逆でした。

1893年にウェルズは働きすぎで、当時はやっていた結核という病になりました。数週間その病気で入院しました。彼はイザベルと別居し、エイミー・キャサリンという新しい恋人と暮らし始めました。結婚しないで同棲することは、当時は考えられなかったようでs、エイミーの兄弟達は、結婚しないなら彼を殺すと脅したので、ウェルズとエイミーは駆け落ちしました。

彼が初めて書いた、生物学の教科書が出版され、彼は科学の記事を書いていた記者の仕事をやめ、小説家を目指すことにしました。彼は、時間旅行を可能にする乗り物の話を書くことにしました。1895年、ウェルズは7年越しで、時間旅行の小説を発表しました。彼はこの小説のジャンルを「サイエンスロマン」と名付けました。『タイムマシン』は、過去の進化の過程から、人類の未来を見てくるという設定で書かれています。小説の主人公の時間旅行の行き先は過去から、80万年先までなのです。さらにそこから、3000万年先へ行き、主人公は、死にゆく地球を見ます。歴史の最後を見届け、主人公は主人公の生きている現代へ戻ります。ウェルズは、この小説を通して、我々の努力次第では、未来は良く変えることが出来ると伝えています。

次回にこの続きを書きますね。

不思議な話 その240 運命についてまとめとHGウェルズの未来予言(1)

「運命」についてのまとめと、人類の運命を小説で予言した、と言われているH・G・ウェルズについての話です。

私たちが人生の未来へと船を進める時。その航路を自由に決められるかということですが、自由意志を否定するとその先には、ある種の破滅が待っているかもしれません。私たちは、自由意志を信じることに希望があるとも言えます。自由意志がないと、どうせ決まっているのだからと人は努力を止めてしまうのでしょうか?ルールを守ろうとする、倫理観も弱められるかもしれません。

自由そのものの決定は航路に似ていて、正しい進路をとれば、目的の場所につくという考え方もできます。あるいは、人生は大まかな台本が決まっている、舞台のようなもので、途中はその役をやっている本人のアドリブで変えることが出来るけれども、最初と最終地点は決まっているのではないかと私は考えます。途中は本人がある程度変えられるのではないかと思うのです。人生を旅行に例えると、飛行機で行くか、車で行くか、船で行くか、あるいは、大変時間がかかっても徒歩でいくかなどに例えることができます。

運命や運を考える時、人はどうしても、幸、不幸を考えてしまいます。誰もが、幸福な状態を望むでしょう。幸福な状態の人は、幸、不幸をあまり気にしないかもしれません。逆に不幸だと感じることを避けたい場合は、他人と自分を比べるのを止めた方が不幸を感じにくいのではないかと私は思います。あるいは、幸せの状態は瞬間、瞬間の連続だと考え、それを感じた時に、感謝すると、感謝の連続で幸福感を感じるかもしれません。

HG・ウェルズのことは、前にもブログで書きましたが、物語を作る天才でジュール・ヴェルヌとともに、「SF小説の父」と言われている魅力的な人物です。彼は、ハーバート・ジョージ・ウェルズというフルネームで、1886年9月21日にイングランドのケント州ブロムリーに生まれて、1946年8月13日に79歳で亡くなりました。小説で数々の未来予言をしています1940年代の第2次世界大戦のことも1930年代に予言しました。1939年にウェルズは『新世界秩序』で概略を述べていた「人権宣言」をタイムズ誌とルーズベルト大統領に送り、「世界人権宣言」(フリーメーソンの世界人権宣言にも関係有るようです。)に影響を与え、後の国際連合にも影響を与えました。敗戦後の日本の「日本国憲法」の原案作成に、大きな影響を与えたとも言われています。

話は変わりますが、ドラマのAXNがHG・ウェルズを主人公にした「アフタータイムアフター」というドラマを放送して、これは残念ながら6話くらいで終了だそうです。アメリカの昔の番組をAXNが放送した「HG・ウェルズの生涯」を参考にしながら、彼の生涯を追ってみましょう。そして彼の特異な予言を見ていきましょう。

時代の先を見ていたHG・ウェルズは未来に魅せられていて、世界初のタイムマシンを題材とした小説を書きました。性に対しても、当時としては開放的で、2度の結婚をし、恋人もたくさんいた恋多き作家です。将来起こり得る、人類の危機を鋭く的確に予言しました。ウェルズは『タイムマシーン』や『宇宙戦争』、『モロー博士の島』『月世界最初の人間』などの未来のテクノロジーに関連するSF小説を書きました。1800年代、つまり、19世紀末に世界のSF小説の基礎となった物語をたくさん書いたのです。

彼は未来の20世紀、21世紀に「人類と地球が大きな生命の危機を迎える。」と著作の小説を通して訴えた、人類最初の人です。
次回彼の生涯の面白いエピソードを追いつつ予言の内容に迫ってみましょう。

不思議な話 その239 運命について(4)

運命についての続きです。人の運命には、自らの意志で選べるものと、選べないものがあるのです。私達の心は、自由な存在ですが、個人の行動によって大きな歴史を変えられることは、歴史上の有名人以外まれなことです。自由意志のちからは、個人と社会そのどちらに注目するかによって、違ってきます。自然界にも様々な層があって、銀河や惑星といった私達から見ると、巨大な世界には、それから比較すると、ちっぽけな存在の自由意志などは、入る余地がない物理法則によって、動いています。

アイザック・ニュートンは世界を時計のようなものだと考えたそうです。それは、美しいほど精密で、十分な情報さえあれば、はるか未来の出来事まで、完全に予測できると、ニュートンは考えたのです。20世紀に入って、物理学の分野で、小さな量子の研究が進むと、ニュートンが考えたように宇宙は予測可能なものではないことが、分かってきました。量子の世界では、人が観測するまで、何もきまっていないようなのです。しかし、もし、量子よりもさらに小さなレベルのものが存在するとしたら、そしてそれが予測可能な世界だったら、話は違ってきます。

宇宙の法則は、コンピューターの世界のように二進法ではないか、という考え方があります。オランダの物理学者、ヘラルド・トホーフト氏は、量子よりもさらに小さい存在に注目しています。トホーフト氏は1999年にノーベル物理学賞を受賞しました。トホーフト氏は次のように言っています。「物理学をチェスに例えるなら、物理学者はチェスのルールを熟知しています。一方、チェスのルールを知らない人は、コマの動きは予測不可能です。量子学の分野でも、同じで、一つの素粒子の場所や動きを正確に知ることなく、線上に置かれているのです。マス目の外に置かれているものもあるのです。量子力学の理論によれば、素粒子の世界では、規則正いルールは存在しません。素粒子は神出鬼没で、様々な場所に存在します。それどころか、同じ位置に同時に存在することも、ありえるのです。量子力学はすばらしいですが、日常生活とかけ離れています。量子レベルの不確定さにかかわらず、宇宙は厳密な規則性に従っています。」と言っているのです。

彼はさらに「宇宙は私達の運命をコントロールしているのです。私は宇宙を巨大なコンピューターとしてみています。宇宙は皆が使っているPCと基本的には同じものです。サイズとスピードはケタ違いで、扱う情報量は膨大なものになります。それは、人間の尺度を遥かに超えています。コンピューターのように、0と1の二進法のように、宇宙を動かす、最も基本的な要素を見つけることが出来るでしょう。基本的なものの一つはその大きさです。例えば、私達が普段生活している場所、家などでは、落としたコインを探すことは、比較的容易ですが、ミニチュアの街で、ミニチュアのコインを見つけることは、ほとんど不可能と言っていいでしょう。」

トホーフト氏は、原子の大きさの何兆分の一の遥かに小さいものの世界に目を向けています。プランクスケールは、宇宙の計測の基本となるあらゆる存在の根底をなすそうです。「それは、現在知られている量子の層より、遥か下に位置しています。0と1で構成されたコンピューターの2進法に近いもの、この層からすべてのものが創造され、変化発展して行く。」とトホーフト氏は言っています。この層では、すべての出来事が予測可能になるそうです。

ブランクスケールの方法でみた宇宙は、チェスのコマが意外な方向に動いたり、ジャンプしたりはしないチェッカーゲームのように、隣のマスにしか影響を与えてくれません。2進法の世界では、遠くから見ていると全てが不確定だそうです。ミクロの世界では、何が起きているのかわからないと、全てが混沌に見えるそうです。その起源まで遡ると、宇宙は巨大なチェッカーボードかもしれません。あらかじめ定められた事でも、瞬間のレベルでは、自由意志があるように見えます。自由意志、選択の自由があるようにみえるのは、通常の力学に反しています。トホーフト氏は、「未来が過去に影響を与えることがある。」という面白い説を語っています。「ヒンズー教のカルマの概念のように、すべての行いは、良いことであれ、悪いことであれ、同じ強さで本人に帰ってくるという考え方があります。原因と結果のカルマが逆に働いていたらどうなるか?将来行うことが、過去に影響することがあるとしたら・・・」

ある物理学者は量子力学を、新たな見方で捉えています。その考え方から宇宙を捉えようとしています。ケン・オートン氏はカリフォルニアのサンノゼ州立大学の教授です。彼は「人間の日常のほとんどは、自然界の基本原則で説明できる。」といっています。
「例えば、ホームビデオ等のフィルムの巻き戻し、と逆回しすると家族のビデオもこっけいにみえます。早回しでも、逆回しでも、どっち向きに進んでも、同じ物理法則に従っている。」と彼は考えました。その延長線上に「物理学の法則は、人間の運命の選択も予測できるのか?」ということがテーマになります。あるスタート地点から、私達を導くゴールまで、基本的な法則は存在するのか、ということが疑問にうかびます。

アインシュタインは基本的な法則は存在すると考えました。彼の相対性理論では、私たちは、ブロック宇宙という中に住んでいるそうです。これは、過去が未来に影響を与えるのと同時に、未来が過去に影響を与えるという考え方です。オートン氏はそれを踏まえ、「未来は現在と相関関係があり、予測可能なもの」と考えました。それを可能にするのが、科学で、宇宙をひとつの連続した構造物と見るそうです。量子力学的な視点では、量子にもスタートとゴールがあり、その中間に不確定性があると考えると、矛盾しないようです。これを説明するのが、「逆因果関係」(未来が過去に影響を及ぼす因果関係)で、私達の未来の選択が、不確定性を引き起こしたとしています。出来事のはじまりと終わりは決まっていても、その中間は量子力学によって融通がきく、つまり、そこに選択の自由があるということです。

ニュートンの考える時計の宇宙観では、最初と最後も途中も決まっていて選択の自由はありません。相対性理論から導き出される宇宙論には、物事に最初からだけではなく、最後の状態から影響を受け、中間の出来事は不確定な部分があり、自由意志が存在できる余地があります。私達の運命はきまっているものの、どのようにしてそこへ行くかは決まっていません。

何を決めるか今は分かっていなくても、必ずどんな人でもその決定は行われます。過去は必ずしも、未来の結果を縛るわけではないのです。

このテーマを調べた私の考えでは、今の人生のあらすじもラフに決まっている台本のようなもので、細かいところは、自分の自由意志で決定することが出来ると思います。つまり、運命はある程度決まっていますが、細かい点では、運命は変えられるともいえます。私が出している、その人それぞれの二つとない大切な過去世も未来世もやはり、当事者が今関係している、現世の今と密接な関係があると思います。その点においては、未来を物理法則で予測しようとする、物理学者の考えに通じるところがあります。

現在に悩んでいるなら、ぜひ、過去世や未来世からの情報を聞きに来てください。役に立つこと、参考になることがあると思います。次回は簡単なまとめと、新しいテーマについて書きましょう。

不思議な話 その238 運命について(3)

引き続き運命について考えます。2500年前のインドの釈迦が「無我」という考えに至りました。人間の肉体は物質の一つであり、私たちはその物質が動く時に出現する幻想のようなものなので、物質に執着してはいけないという考え方です。釈迦の考え方は、現代の神経学者にとって、馴染みやすい考え方のようです。カリフォルニア大学の認知神経科学者マイケル・ガザニガ氏は精神の働きを40年以上研究し、「認知神経学者の父」と呼ばれました。彼は、人間の精神は、神経回路を走る電気信号の産物であり、それ以上でもそれ以下でもないと結論づけています。精神を形作るのは「脳」で、精神活動と精神を形作るものの間には、例えるなら、コンピューターのハードウェアとソフトウェアの関係です。どんなコンピューターもソフトがなければ、ただの箱です。ソフトがハードを動かして、初めてコンピューターとして機能しているというのです。

私もこの考え方と同じものを、いろいろな人の過去世を見て感じました。時に肉体は精密な生体ロボットのように私には思えますがそこに、人間らしい魂というソフトが入っているような感じです。過去世と過去世の間の中間生にのぼる前に、肉体から離れるところを見ていくと、まるで、ハードウェアのパソコンから、電気的データベースのその人の情報が出ていくような映像が浮かびます。それは光のように見えますが、中身は過去世、前世、現世、未来世へと連綿と続く、その人自身の人生のデータ全てです。別の言い方をすると、魂といえるかもしれませんが・・・

話を『時を越えて』のガザニガ氏の言葉に戻します。精神的領域と肉体的領域が相互に作用して、意識や認知などのすばらしいものが生まれるのです。「人間は生きた優れた機械だ。」と彼は言っています。生きた機械が運命をコントロールできるか?というテーマには、ガザニガ氏は出来ると考えています。人間は多くの自動的なシステムに従っていますが、より高い次元では、自由な本人の決定が可能だというのです。ガザニガ氏は、人間の精神をいくつかの層からなる複雑なものとみなしています。

「数多くの層のうち、その一つがどう動くかは理解できても、それによって、別の層の働きが理解出来るとは限りません。例えば、水が一つの層だとすると、海の水が理解できても、海の水の波がどうやってできるのかは理解できません。両者に関わる法則は別のものだからです。水を理解しても、波を理解したことにはなりません。」と彼は言っています。

「車に例えても、いろいろなものが寄せ集まって車というシステムを作っています。車は単独で存在し、他の車と相互作用します。脳も他の人の脳と作用しあって、そこに存在しています。人との相互作用の中で、そこに存在する個人の責任の領域に、我々の自由意志が存在する。」とガザニガは考えています。世界に一人だけしかいないなら、個人の責任は存在しません。個人の責任は、2人以上の人間の相互作用から生まれます。私達が行動に移せば、他の人に影響を与え、もし、社会のルールや法律を破れば、罰を受けるため、選択肢は限られます。私達は、自分の行動に責任を持たなくてはなりません。どんな社会でも、一人一人が、大なり小なり、責任をもっています。私たちは、一定のルールに従ってはいますが、その範囲内で、選択の自由を持っています。また、ルールを破るという自由もあります。自由とは、まわりの情報をもっと手に入れ、もっと賢くなることという考え方もできます。自由を実現できるのは、優れた機械でもある私達の脳だけです。

ある科学者は私達がある一定の法則に従っていることを発見しました。この社会の動きが、惑星の動きと同じように、予測可能だと言う意見があります。キリスト教では、人の運命は神によって定められているといっています。ショーン・ゴーリーという人は、物理学者で、陸上の十種競技の選手です。なぜこの社会は、伝染病が起こり、戦争が起こるのか?ゴーリー氏は、人間の行動も予測できると考えています。人が駅などで、大勢の中、動く様子を見ていると、行動にいくつかの基本のパターンがあることに気付きます。前を歩く人にパターンがあり、数秒から数分になってやがてバラバラになります。その反応スピードや目的地を変数として、計算すると3つか4つの変数を使えば、いくつかの行動パターンを計算で導き出すことが出来るそうです。駅の通路の中央に障害物があると、人は自分の動きに注目します。進むべきコースを自動的に脳で考えます。


戦争は昔から人を苦しめていますが、戦争の引き金は予測可能か?というテーマがあります。戦争に関する膨大な情報を収集して、混沌とした中からゴーリー氏は、一定のパターンを見出すためのコンピューターのシステムを考えました。彼のシステムはアメリカの防衛関係者の間で、高く評価されているそうです。彼は、戦闘地域での数と規模の間に明確な数学的関係を見出しました。人々が戦闘地域でどういう選択をするのか、ある程度数値化できます。世界中の戦闘地域で、同じ行動パターンを導き出すことが出来るそうです。(古代には占い師や風水師などの軍師に頼っていた、戦争での判断を、コンピューターの計算に委ねるわけですね。)戦争が起きるタイミングや状況を正確に予測できるようになったというのですが・・・コンピューターの未来予測ですね。この方法で未来を予測できるなら、未来を変えることはできるのでしょうか?そしてその歴史の大きなうねりを作っているのは実は個々の人生の集積なのではないかと、私は思っています。

今と違う未来を望むなら、紛争を別の方法で、コントロールする必要があります。そのためには、様々な集団を研究対象にしなければなりません。大きな集団と小さな集団のトップをトップと底辺に置き換えて、研究対象は複雑多岐にわたります。ゴーリー氏は、世界の現状を表す方程式を見つけましたが、本当に見つけたいのは、未来を良い方向に変えられる方程式ですね。情報が多いほど、未来のデータをうまくコントロール出来ます。どんな強大な権力を持ってしても、人類の歴史を変えるのが、容易でないことは、人類の長い歴史が証明しています。古代ギリシャ人が言ったように、些細な事は変えられても、結局はあらがいようのない運命に人間は、しばられている存在なのでしょうか?

ゴーリー氏は「人々には自由意志があります。それは間違いありません。ただし、それは、ハードル競技に例えると、トラックの上のハードルを上げ下げしたり、どういうハードルを飛び越えるかという自由です。地球の重力そのものを消す自由はありません。もし、私達が戦争に行ったとしたら、戦場での行動はある程度は選択できます。しかし、戦死するか否かは、否応なしに決まっています。ここが、人間にとって不条理な部分です。」といっています。

私観音寺は、対象の方に会い、その人の持っているデータに直接アクセスして、未来世や未来を時々見ますが、これと同じように、人生の大まかな基本的台本のようなものは変えられませんが、「戦場でどう行動するのか?」と同じように細かい点はその人の行動によって、未来や未来世は書き換えられますが、大まかな、どこに生まれてどの体に入って、どの時期に人生を終了するかは、来世も来来世も、来来来世も決まっています。しかし、家族を作るとか作らないとか、この人と関わるとか、関わらないとか、結婚するしないというのは、その人が変えられるものだと思っています。

次回に運命についてさらに考えます。 


プロフィール

観音寺りえ

Author:観音寺りえ
アトラス研究所の観音寺りえです。

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住所: 東京都文京区千石4-37-10 
TEL: 03-3942-1341
まで。

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