不思議な話 その203 トランスヒューマンという考え方(3)

トランスヒューマンの考えと共通するもので、SFの世界でよく使われる考え方に「サイボーグ」があります。「サイボーグ」はサイバネテック・オーガニズムの略で、生命体と自動制御系の技術を融合させたものだそうです。具体的には人工臓器などを身体に埋め込む身体の機能を電子機器や人工物で代替したものです。石ノ森章太郎の漫画「サイボーグ009」の登場以降一般的になりました。

アメリカの医学者、マンフレッド・クラインズとネイザン・S・クラインが、1960年に提唱した考え方です。最初、人類の宇宙進出と結びつけて考案されたようです。小説や映画や漫画では、サイボーグとアンドロイドの区別が曖昧なようで、私も違いがはっきりはわからなかったですが、アンドロイドは人間の姿に似せて作られた「ヒト型ロボット」で、知らなかったのですが、男性に似せたものを「アンドロイド」と言うそうです。女性型を「ガイノイド」と呼ぶそうです。人間から一部やかなりの部分を機械にしたものを「サイボーグ」、人間の細胞がないもの機械だけの人間型ロボットが、「アンドロイド」や「ガイノイド」で、もちろん自立型なので、人工知能が搭載されます。

現在では、サイボーグ技術?の実用化が進行していて、ペースメーカーなどの人工心臓、人工義手、人工足、人工内耳、人工眼などがさらに進化しつつあり、近い将来それらがモデルの人間の能力を超えたものになるのは確実だと思います。これらの人工パーツの目的は、医療用の治療目的のものと、兵士などの身体機能強化などの目的になる恐れがあります。

サイボーグは人体の外部にとりつけて、動作させ、取り外し可能な非侵襲性型(体を傷つけないもの、欠損した身体を補うものも、非侵襲性型)と、侵襲性型、人体の内部に埋め込まれて動作する型の二つに分けられます。トランスヒューマニズムの脳にチップを埋め込むのも、侵襲性ですが、今の段階では、生体が装置を異物と捉え、拒絶反応が起きたり、手術による感染症の危険性があります。

機械には今のところ細胞のように自己復元能力がないので、故障や破損した時は、命にかかわることになります。体内インプラントのマイクロチップに発がん性があるとの声もあるそうです。人間の倫理的な側面と、心理的、生理的な、ヒトの拒否反応もありそうです。

兵士をサイボーグに変える研究というと、SF映画や小説の 世界のようですが、現実にアメリカの国防高等研究計画局(DARPA)
が、兵士の身体能力を人工的に強化する研究に取り組んでいます。非人間的な感じもしますが、実際に戦争で手や足を失った兵士に義手、義足を使い、再び戦闘に復帰出来るようにするインターフェイスをつけるようです。「脳科学システムデザイン」(NESD) の研究プログラムでは、脳とコンピューターをつなぐインターフェイスの研究をしています。(何か空恐ろしいような感じもします。)DARPAは、1立方センチメートル小さい脳に埋め込むチップを作ることを目標にしていて、この電気信号や化学信号をコンピューターに伝達させたいようです。その機関では、脳科学、生物工学、省電力、医療機器の各分野で新しいイノベーションが必要だと言っています。

話をゾルダン・イシュトバン氏のインタビューにもどしましょう。彼はトランスヒューマンの考え方を「人間は自然でないものに恐怖を覚えるものだが、テクノロジーを取り入れることで、肉体や生命が不自然なものになっていく時恐怖や嫌悪感を持つのが普通だが、どう克服するべきか?」という質問に対して、ゾルダン氏は、「自然、不自然と二極対立させることこそ不毛な考えだ。たとえば、手を考えた時、この手は、数百万年前はもっと毛深く、形も異なっていて、より動物的だったかもしれない。自然、不自然というのは、その時の価値観にすぎない。仮に未来にロボットになっていたとしても、その時は、その姿しか知らないのであれば、自然にかんじるのではないか。道具や科学を用いて、進化することは、我々に備わった性質だ。我々は何にだってなれる。環境問題もテクノロジーによって解決可能だ。遺伝子操作で、森を10倍のスピードで成長させることが出来るだろう。人工肉の開発が進めば、動物を殺す必要もなくなるだろう。世界では広大な農地が家畜の為に使われている。今のように肉を消費しつつ、自然をもっと豊かにできるだろう。」

「その考えをつきつめると、人間はロボットやサイボーグになってしまうのでは?」という質問に対して、ゾルダン氏は「いつか人間はそうなると思う。だがそれを恐れるべきかはわからない。重要なことは人間性をどのように残すか、ということだ。人間の良いところを残して、テクノロジーの良い所と融合させる。そして、今よりも良い世界の実現を目指す。・・・さらに遠い未来には、人類は記憶をコンピューターからダウンロードできるようになるかもしれない。あるいは、生命自体がバーチャルなものになり、肉体はどこかに何かしらのかたちで残しておく程度になるのかもしれない。記憶情報をロボットに移植することも、3Dプリンティングで作った人体に記憶を移植することも出来るかもしれない。これは記憶のクローンという新しいアイディアだ。」

ゾルダン氏は人間のその先は映画「マトリックス」のようにバーチャルなコンピューター上の世界で、人工の7割ほどが生活する社会になれば、地球の食糧やエネルギーの問題は解決すると言っています。

ゾルダン氏の考えは人間の性善説に基づいた理想的なものだと思います。前に私がブログで紹介したジョニー・デップが主演した「トランセンデンス」(超越という意味)の映画で優れた頭脳の学者が自分の死ぬことを予期して記憶をコンピューターのなかに入るようにして、彼の人格がコンピューターになって、妻と会話したり、魔法のようなことをしますが、最後には彼のエゴによって自滅してしまいます。テクノロジーや技術は、善にも悪にも利用されてしまうことがあります。

人間の身体は私が思うに、実は生体ロボットとして完璧に近いものです。これに手を加えすぎると人間ではないものになるのではないかと思います。治療目的の補完的な改造は良いとしても、本来の姿から逸脱すると、人間というシステム自体が壊れてしまうことになるのではないでしょうか?魂は、その記憶とキャラクターを持ち、すでに、肉体から肉体へと記憶という情報を持ちながら、変遷しているのです。今の世界が十分バーチャルな世界かもしれません。人の精神はまだ、肉体を持たなくていいほどには成長していないのかもしれません。

次回にまた興味のあるテーマを探します。





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不思議な話 その202 トランスヒューマニズムという考え方(2)

話を最初に書いたゾルダン・イシュトバン氏にもどしますね。(以降はゾルダン氏)彼は、トランスヒューマニスト党を作り、この前の大統領選に出たのですが、彼のトランス・ヒューマニストの最終目標は、ロボットに介護されるのではなくて、彼自身がロボットになることだそうです。衝撃的な考え方ですね。ゾルダン氏いわく「人間は、何かを飲んだり、食べたり、寝たり、排泄したりするが、ロボットには、そんなことは必要ない。最善の方法は、人工心臓や人工足などを取り入れ、頭にチップを埋め込むことだ。すべての生物性を」取り去ることが重要になるだろう。これはトランスヒューマニストにとって重要な考え方だ。生物であることは原始的なんだ。」と日系ビジネス12月8日号の「人間は、いずれ、ロボットになる」という記事でインタビューを受けています。少し記事をまとめて、一部を引用してみましょう。

トランスヒューマニズムは世界で数百万人が参加する社会運動だそうです。活動自体は概念はずっと前にあったものの、1950年代から社会運動は始まり、SFの中で語られる思想でしたが、次第に具体的な活動になっていきます。科学やテクノロジーを用いてラディカルに人間を変えるという考えで、我々の生命のあり方そのものを変えるものだと言っています。

ゾルダン氏は、アメリカの作家で、哲学者で、未来学者で、1973年にカリフォルニア州ロサンゼルスで生まれた43歳です。コロンビア大学で宗教学と哲学を学びナショナルジオグラフィックチャンネルで記者をしていました。その後ハフィントンポストやサイコロジートゥディなどに定期的にコラムを書いています。2013年に『The Transhumanist Wager』 (トランスヒューマニストに賭ける)という小説を書きました。その後トランスヒューマニストとして認知されました。2014年にトランスヒューマニスト党を設立し、2016年の大統領選に出馬しました。

ゾルダン氏は彼自身手に米粒の半分くらいの大きさのマイクロチップを注射で埋め込んでいます。彼いわく、すでに50万人の人がこのチップを入れている?ということですが、本当なのでしょうか?彼が手を近づけると、自分の名刺情報を送信することが出来るし、家の鍵を開けたりすることが出来ます。彼は今はこのくらいですが、いずれは、自動車の鍵を開けたり、オフィスの入館証、空港のセキュリティシステムで使われたりするだろうと予言しています。医療関係者も、血液型や持病など、搬送されてくる患者の情報を瞬時に得られるようになると予想しています。希望する人にチップを入れるのはいいとしても、個人情報を強制的に体に入れさせられて、管理されることを嫌がる人々もいます。私もいくら便利だとしても、体にチップをいれたくはありません。皆さんはどうでしょうか?

ゾルダン氏によると、「トランスヒューマニズムとは、テクノロジーの発展を今以上に進め、生活や肉体にそれを積極的に取り入れようということで、ゴールは科学とテクノロジーを駆使して、死を乗り越えることだ。私は今後25年くらいの間に人々は体のいろいろな部分を取り替えるようになると考えている。事故で肉体が付随になった人の脳にデバイスを移植して、身体を動かせるようにしたり、目の見えない人の眼球にデバイスを移植して目を見えるようにしたり、失われた機能の再生が基本だが、それだけではない。」と言っています。

さらに彼は未来を予測しています。「私の予測では、10年後には、50%の米国人が身体に何かしらのチップを埋め込むだろう。25年後には実際に身体の一部を機械と取り替えるようになるだろう。それが便利だからだ。クレジットカードも身分証も飛行機のチケットも不要になるだろう。人工心臓は、研究が進んでいて、すでに試験的に移植されている。フランスのバイオメディカル企業カルマト社などが有名だ。心臓にかかわる病気で亡くなる人は少なくない。心臓が機械と交換可能になれば、死は劇的に変わるだろう。心臓が健康であれば、その他の臓器もいい状態に保てる。心臓に限らず、我々は様々なものを取り替えることになるはずだ。触れたものを感じることが出来る人工の手の研究も始まっている。冷たいとか、柔らかいとか、最初はそういう情報を指先から得るレベルだが、やがて、人間よりも義手のほうが正確になり、触れたものの温度とか、触っただけで、何に触れたかわかるようになる。電子レンジのように、握ったものを指先で温めることさえ、できるようになるかもしれない。」と彼はインタビューで未来を予測して答えています。

未来は、人工的な人体のパーツが人間の能力を超えたものになるかもしれません。人間の感情はそれらのサイボーグとも言える、超人に恐怖の情をもつかもしれません。それから、人体のパーツを持たない、人工知能を持った100%の機械のロボットと半分が機械のパーツのサイボーグとはどこが違うのかというのも、未来のある時点では、問題になるかもしれません。ロボットに魂が宿るのかという大きな命題もあります。次回にゾルダン氏の意見をまとめながら、さらに進めて考えてみましょう。

不思議な話 その201 「トランスヒューマニズム」という考え方(1)

ドナルド・トランプ氏が、今年の大統領選で勝利して、来年1月から、第45代大統領になるようですね。従来のエスタブリッシュメントの政治の専門家を廃して、型破りな大統領になりそうですが、日本への影響はどんなでしょうか?選挙運動中のアメリカの新聞、雑誌、TVのトランプ叩きはすごかったですね。9割以上のマスコミがクリントン支持でした。でも、勝敗が決した後の手のひら返しもかなり早かったように思います。トランプを叩いていた「タイム」誌はトランプ氏を今年の顔で表紙にしました。

その2016年の大統領選で、誰でも大統領には(猫でさえ)立候補できるのですが、作家で哲学者のゾルタン・イシュトヴァン氏が、「トランスヒューマニスト党」という党を作って大統領選に出ていたというのを、TVを見て初めて知りました。調べてみると、トランスヒューマニスト党はトランスヒューマニズムという考えをもとにしているということがわかりました。トランスヒューマニズムは、その考え方の起源は古くはルネッサンスからあったそうです。新しい科学技術を用いて、人間の体と知力を進化させ、人間を前例のないほど向上、進化させようとする考え方だそうです。日本語では、「超人間主義」と訳されたりするようです。この考えは最近では、1923年の生物学者であるJ・B・S・ホールデン(1892年~1964年)の著書『ダイダロス、あるいは科学と未来』と、幼少期からホールデンの友人オルダス・ハクスリー(1894年~1963年)の小説『すばらし新世界』の考え方をオルダスの兄のジュリアン・ハクスリーが「トランスヒューマニズム」と名付けました。

後者の『すばらしい新世界』では、SF小説ですが、その舞台は未来の架空の全体主義国家で、徹底した階級社会で効率よく国を支配するために、人の自然交配は禁止されている社会です。それを可能にしたのは、胎児を体外発生させることが出来る生殖テクノロジーです。この小説では、すべて、人の胎児は、体外受精を経て、人工的なビンの中で生育してから、月みちて、「出ビン」(デキャント)されます。そこには、男女の体の接触はなく、子宮もなく、愛とか恋などもない世界として描かれています。この中では夢?のテクノロジーなのか、受精卵の成熟の過程をものすごい速さで促進する技術と、最大で96個の受精卵を培養する技術があり、その二つを組み合わせると、2年以内に1個の卵巣から、同数の精子を受精させて、総勢1万人以上の、150以上の一卵生の兄弟姉妹を発生させるという設定になっています。胎児はまた、ビンにつめられて、大人になるまで栄養補給を受けて優生学的操作と条件反射教育を受けるというものです。(まるで、人間の生産工場のようですね。)作者は警鐘を鳴らして書いていたのだと思いますが、性的ふれあいを通しての他者と触れ合い、愛するという情の喪失と、子宮内にいるべき胎児とその母親の分離、母子の感情の喪失も描いています。この人工的に人間を増やすという設定やアイディアはその後のSF小説、映画、アニメに多用されています。

生物学者のホールデンは、『ダイダロス、あるいは科学と未来』(1924年)で、トランスヒューマニズム(超人間主義)集団遺伝学上で、新しい科学技術を用い、人工的に人間の体と認知能力を進化させる可能性を著しました。キリスト教的価値観では、神が創造した人体の能力を宗教的タブーを乗り越えて、科学の力で、進化させようとするもので、彼は「クローン」という言葉も、最初に作った人です。話は飛びますが、ヒットラーの予言で、超人が出てくると言ってたのは、この考え方をヒットラーも知っていたか、読んでいたのかもしれません。ホールデンも当時の最先端の生物学的知見をふまえて、未来の科学技術を予言していました。体外発生の成功を1951年と予測しました。実際には1978年にイギリスの生理学者ロバート・G・エドワーズが体外受精に成功しました。けれどもまだ、母体の代わりとなる設備は発明されていません。このホールデンの考えは理想的すぎると批判されています。

ホールデンは、21世紀後半の英国では、自然な生殖の営みから生まれる子供の数は、30%未満、残りはすべて体外受精か体外発生つまり、子宮を使わないで人工的に発生させるものになるのではないかと予言しています。彼が思い描く生物学的ユートピアでは、人間は体外発生器から誕生し、さまざまな薬品と健康食品の恩恵に浴して、快適な生活を送り、最後は穏やかで苦しみの無い死を迎えるというのです。

先程の、ハクスリーの『すばらしい世界』はこのホールデンの考えを小説にして、先端的な医療テクノロジーを手にした国家が、一見バラ色のユートピアに見える世界を、実は生殖を支配している人間の自然な性を抑圧するディストピア(理想的でない社会)に変えていく様が描かれて未来の生殖技術の偏った考えに警鐘を鳴らしています。

生命科学が進んで、このまま行くと、この二人の考えた技術は未来では、実現可能になるかもしれません。その時、生命倫理の問題が重要な課題になることでしょう。

もう一つの生命革命は「体細胞クローン技術による生殖です。ジャン・ボードリヤールは『透きとおった悪』(1990)という小説の中で、人間の体細胞クローニングがそう遠くない将来、人間においても成功することを見通し、人間のクローン化が持ちうる問題を考えているのだそうです。それには二つの大きな問題があって、第1の問題は、自分以外の他者の関与を否定しています。生殖行為はもちろん、他の個体との生殖細胞同士の結合を無用にしてしまいます。すべてを他者なしですませるので、理論的には、一つの個体で無限に増殖を繰り返すことができるのです。

第2の問題は、人間の全体のシステムの終焉で、人の身体を是非を考えないで、部品とみなす視点から見ると、人間の人工臓器や他の動物の臓器が人工の器官とされるようになります。体細胞クローニングでは、個々の細胞の遺伝子情報が、人工器官としての役割を担った、サイバネッテックな人工器官とされます。体細胞の人工器官から、全体の細胞を作り出すことが可能になると、全体という概念が喪失して、個々の個体しか残らなくなります。ボードリヤールは他者性の廃絶も、全体性の終焉も身体性の崩壊を招いてしまうと言っています。極端にいうと、一つの個体しかその星に反映しなくなり、その個体の生物性は失われ、滅びてしまうことになると思います。

次回は、現代のトランスヒューマニズムの考えとその技術を突き詰めていくと、結果に起こることを考えます。



不思議な話 その174 DNA鑑定の不思議と 浮世絵師歌川国芳のミステリー

 前回のまとめをする前に、別の不思議な話を一つします。私は浮世絵やいろいろな絵画を見るのが好きなのですが、歌川国芳の浮世絵の不思議な話を耳にしました。今、ちょうど6月5日まで、歌川国芳と歌川国貞の美術展を、渋谷の東急文化村でやっているそうです。そこに出展されている図かどうかは、わかりませんが、彼の絵にスカイツリーらしきものが描かれているのではないかという説が、都市伝説のように語られています。

 BS朝日の2013年1月26日の放送でも取り上げられているそうです。問題の絵は「東都三つ又の図」という題で、隅田川の日本橋中洲付近から北東の、現代でーのある方向の景色を国芳は描いたのですが、現代の2014年に出来たスカイツリーと形がよく似ているので、「国芳には未来の光景が見えていたのでは」と言う人がいます。描かれている場所も現代のスカイツリーと4メートル程度しか離れていないそうです。浮世絵に詳しい研究者は、やぐらだろうと言うのですが、横に火の見やぐらはあり、それは当時の江戸の地図にも描かれています。しかし、火の見やぐらの横のさらに高い塔は、火の見やぐらの脇にあり、当時のやぐらにしては形がおかしいのです。その形は、スカイツリーにそっくりです。おまけに絵の右側の東京湾の方でしょうか、西洋船のマストのようなものがたくさん見えます。当時の江戸にはそんな船はなかったと思いますが・・・

 油の井戸では、という人もいますが、油の採掘が最初に始まったのは、1859年頃、アメリカでなので、この絵が作成されたのが、1831年頃なので、時代が合いませんね。1859年といったら国芳が亡くなる直前です。亡くなるといえば、もう一つ不思議な図柄があります。「東都御厩川岸の図」で、貸し傘を持った労働者の顔の見えない男の傘の番号が、「千八百六十一蕃」となっているのですが、国芳の亡くなったのが、西暦で、1861年とぴったり一致しています。顔が見えないところも妙ですね。傘の番号の上には般若の顔でしょうか?いえ、、私には死後の世界で会うと江戸時代に信じられたエンマ様の顔のような模様に見えます。エンマ様であるとしたら、彼は、「俺は自分の亡くなる年を予知して、知っていたのだよ」と後世の人に伝えるメッセージとなります。彼は絵の天才というだけでなく、予知能力があったことの証明にもなります。

 歌川国芳は、1797年~1861年江戸日本橋本銀町に生まれました。父親は染物屋を自営していました。国芳は幼少から絵を学び、7~8歳で、『絵本武者能』や『諸職画鑑』などを真似て描いていたといいます。彼は64歳で亡くなるまで版画絵を描き続けました。訳者絵や相撲絵も描きましたが、それでは、人気がでず、葛飾北斎の影響も受けたくさんの作品を残しました。過去の武人の絵がヒットして「武者絵の国芳」と呼ばれました。その後、美人絵や役者絵、春画や戯画もたくさん描き、向島に引っ越します。その頃、水野忠邦が天保の改革をして、役者絵や美人画や春画が禁止となり、浮世絵画家に打撃となります。正義感の強い国芳は、妖怪の絵を描いて、暗に幕府の批判をしたりしました。

ぶきみともいえる骸骨の絵や幽霊や妖怪の絵は、彼が何かを見えていたのではないかと不思議になるほど見事です。骸骨頭、スカルマークは現代では、若い人のアクセサリーや服の模様として流行っていますが、約200数十年前の国芳も、着物の柄に、未来に流行るのを見通したかのようにスカル模様を描いています。多くの小さい人の組み合わせで描かれた「良い人の横顔」や、多くの小さい猫で描かれた一匹の猫は西洋画のだまし絵のようで、面白いです。国芳は猫を愛した人のようで、猫の絵が多いです。自画像にも飼っている猫を描いています。

さて、DNAの話の続きです。現在ではDNA鑑定は血液や体液からだけでなく、毛根のついた髪の毛やフケ、唾液のごく一部からも取り出せるそうです。ただ、証拠品やサンプルを提出する時点で、捏造や誤ったものが証拠として提出されると、DNA鑑定は100%確かと言えなくなります。過去に無実の罪で捕まった受刑者の無実を証明する手段としては、DNA鑑定は有効です。犯人だと断定することよりも、犯人ではないと断定することに、より有効なようです。アメリカではイノセンス・プロジェクトにより、無実の受刑者232人(うち、死刑予定囚17人)がDNA鑑定で無実が証明され釈放されました。

 TVで見て知ったのですが、専門家によると、犯罪現場の加害者と被害者が一言でも言葉を発すると、話した時の現場に残ったごく少量の唾液からでも、犯人を割り出すことができるそうです。マイナス法で、被害者、捜査関係者、友人で犯人とは思えない人を除いていきながら、不明の人物を割り出してゆくそうです。驚きですね。

 犯罪におけるDNA鑑定だけでなく、DNA鑑定は、親子関係のあるなしを、証明することも多くなってきました。妊娠をしている女性から絨毛組織を取って、父親の唾液と照合すると、出産前から、親子の鑑定ができるそうです。

そのほか、唾液を綿棒でひとかきするだけで、もっと詳しい様々な遺伝子検査ができるようになりました。遺伝子検査で生まれ持った病気のなりやすさの体質が知ることができるそうです。遺伝子と生活習慣の双方の発症の有無を知ることが出来ます。ただ、可能性なので、必ずその病気になるというわけではないので、アメリカの有名女優さんのように、病気になる可能性が分かったからといって、子宮や乳房などを、健康なうちに取ってしまうのは、私は反対です。なりやすい部分をすべて切除してしまったら、大変なことになると思いますし、体のバランスも崩してしまうかもしれません。遺伝子検査を参考にして、生活習慣を改め、発症の可能性の確率を下げるのが良いのではないかと思います。遺伝子検査はどんな食物を取り込むと、自分は太りやすいかというのもわかるそうです。つまり、白米が太りやすいとか、小麦系が太りやすいとか、肉の脂肪が太りやすいとか、砂糖がふとりやすいとかが分かるそうです。

 未来にはさらにDNAおよび遺伝子検査で想像もしなかったことがわかるかもしれませんね。良い未来になるように貢献して貰いたいものですね。次回にまたおもしろいテーマを探しましょう。

  
  

不思議な話 その173 DNA鑑定の不思議

 100年前の人は誰が、人間一人一人の細胞の中に、その人を特定する名前のようなものがあることを想像できたでしょうか?人間だけでなく、すべての動物にはその個体を特定する、遺伝子の本体としてのすべての細胞内に遺伝子の設計図のようなものがあります。その遺伝子の本体の細胞の核内に存在する物質がDNA(デオキシリボ核酸)でDNAを主成分としたこの物質は1869年に「ヌクレイン」と名付けられました。けれども、遺伝子の本体は長い間、タンパク質だと考えられていて、DNAの役割や構造は、研究が進まなかったそうです。ちょうど、歴史の中で、地球を中心に太陽が回っていると考えられていた時は、長い間、それが常識だと信じられていました。近代になって、太陽を中心に地球が回っていることが、証明されると、地球の公転が常識となって、知らない人はいなくなります。これと、同じように、現代では、DNA鑑定は当たり前になって、みんながこれを知っていたり、利用していますが、遺伝子の本体がDNAであると分かったのは、1944年のことで、さらにDNA鑑定が犯罪捜査などで行われるようになったのは、つい最近、1985年からです。

私達が写真やニュース画像でよく見るようになった二重らせんの立体構造は、ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックという二人が、1953年に、二重らせん構造を発表しました。この発見は分子生物学史上、最大の発見の一つと言われ、この後、2人は1962年にノーベル生理学、医学賞を受賞しています。1944年、先ほどのアメリカのワトソン博士とイギリスのクリック博士は、DNAを切断したり、結合させたりその組み換えの研究が、そこから、スタートしたそうです。しかし、その二人以降、研究はあまり進展しなかったそうです。

 犯罪史上で、DNA鑑定のヒト個体識別が行われた、最初の事件は、イギリスのレスター州ナーボロウの事件だったそうです。レスター大学教授のアレックス・ジェフリーズ博士はDNAを切断したり結合して、それを写真にさつえいすることに成功しました。それは、今私達が目にするバーコードのようなものだったそうです。アレックス博士はナーボローに事件の少し前に彼の理論に基づき、ガーナ移民の母子の親子鑑定をして、その親子関係を証明し、初めて裁判所の証拠として採用されました。少年はイギリスからガーナへ、強制送還されることなく、イギリスに住む許可を与えられる判決が出ました。そのニュースがイギリスの新聞に載りました。

  1985年、イギリスのレスター州の警察に所属する、ベイカー刑事は、2人の少女のレイプ殺人事件で、容疑者の少年を逮捕したものの、その供述に違和感を持ち、捜査が行き詰まっていました。15歳の少年の自白した供述が、実際の事件と矛盾していたのです。そこで、レスター捜査官は、アレックス博士のDNA鑑定のその記事を見て、少年のDNAと被害者から出た犯人の痕跡のDNAを比べることを思いつきました。

そして、親子鑑定をした、ヒトのDNA研究の先駆者でもあるアレックス博士にその事件の捜査の協力を依頼しました。容疑者だった15歳の少年の血液を注射で採取して、少年の血液からDNAを調べたところ、犯人のDNA指紋は一致しませんでした。捜査は振り出しに戻りました。ベイカー捜査官は、さらにアレックス博士に依頼して、イギリスの中で決定権のある国の偉い政治家や、王室に許可をとり、(王室は大事なことを決めるのに上からの素早い影響を与えられるのだそうです。)事件現場から8キロ圏内のナーバローの地域で、居住したり働いている15歳から35歳の男性の任意血液採取の協力を求めました。少女達に残された、体液の量から、35歳までの男性と警察は推測したのです。レスター捜査官は、年齢も地域も対象を広げてでも徹底的に調べる気でいました。アレックス博士の協力のもと、国の研究検査機関も巻き込んで、ナーボローの3つの地域で世界初の血液のDNA分析鑑定捜査が始まりました。地元で説明会が行われ、約5000名近い男性の協力で、血液が集められました。(現在のように唾液での採取は技術的にできなかったか、その発想はまだなかったようです。)ベイカー捜査官は、5000人で足りなかったら州の該当年齢すべての男性27000人の血液を集めるつもりでした。しかし、結果がすぐに出なくて、その検査に批判が集まりはじめました。犯人がのこのこ血液検査を受けに来るかという問題があったのです。レスター捜査官は、犯人が血液検査を受けなかったり引っ越して逃げた場合は、引越し先に追いかけて行って血液を採取させてもらえるように、部下に指示しました。怪しい人は警察にしょっぴけるようにもしました。

  DNA鑑定捜査のない時代に、この捜査方法が批判された理由の一つにDNA解析が当時は、数ヶ月もかかり、なかなか犯人のDNAと一致するものが出てこない苛立ちが関係者の上層部にあったようです。しかし奇跡的に、あるパン工場の工員から血液鑑定を身代わりになった男から話を聞いた工員からのタレこみがあり、その工場の身代わりになった男性から事情聴取すると、男性の上司が自分の身代わりに血を提供してほしいと圧力をかけられたのでそれに応じたという事実が分かり、警察は、上司で、他の地域に引っ越そうとしていたコリン・ピックフォークという30代前半の男を逮捕して、DNA鑑定をしました。なんと、DNA型指紋は被害者の少女二人の体の中にあった体液のDNA型とピッタリ一致しました。

アレックス博士のDNA鑑定法の研究は、後の日本を含め、世界中の犯罪捜査方法を変えることになるました。これは、指の指紋の捜査方法の発見以来となる世界の犯罪捜査史上においての重大な貢献になりました。博士は1994年にイングランド女王からサー(岸の位の爵位)を受け、2012年に大学を退職しました

 詳しい話は、私も見ましたが、イギリスドラマ「コード・オブ・キラー」ーDNA型鑑定で犯人を追えーで見てください。次回にDNAの不思議についてまとめをしたいと思います。


プロフィール

観音寺りえ

Author:観音寺りえ
アトラス研究所の観音寺りえです。

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住所: 東京都文京区千石4-37-10 
TEL: 03-3942-1341
まで。

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