不思議な話 その67 鬼について(2)

 鬼の言葉の起源は、1、隠(おん)の字と音から転じたという説と 2、陰の字から転じたという説と、3、日本古代の固有名詞という説と4、大人をさすという説があるそうです。『源氏物語』に登場する鬼は皆、女性の姿をしていたということで、怨霊や霊をさしていたのでしょう。

 説話の中の鬼は鬼を退治した侍が切った片腕を取り返すために、女に化けて武者に近づきます。息子の片腕があるだろう、それを見せてくれと言ってたちまち腕を奪い取って逃げて行きます。

 鬼は古代は一定の形、キャラクターはしていなかったのですが、その後、家相等で知られる丑寅の方角と関係があるといわれて次のような姿が一般的になりました。しゃれのようですが、牛の角と、虎の皮のパンツを鬼ははいていますね。その姿は牛と虎からとられたともいいます。肌の色はいろいろで、「赤鬼」「青鬼」「緑鬼」などと呼ばれます。外国の見慣れない人の姿を見て、想像してその姿が出来たという人もいます。

 私は家相も見ることができますが、日本の家屋はたいてい見取り図が正方形や長方形が多いので。3分の1以上かけていたら、欠けているところを補うか3分の1以下なら削り取った、家の平面の図の対角線上が家の中心になります。その中心の点を通って、東西南北に線をひきそれが正中線になります。北東の丑寅(うしとら)の方位は、「鬼門」といわれ家相では汚したり、方位を犯すことを嫌がります鬼門の反対側を「裏鬼門」といい鬼門と裏鬼門を結んだ線が「鬼門線」です。この線はエネルギーの強いところで、日本の住宅事情では難しいかもしれませんが、その鬼門線上に体がかかるような寝る位置はあまり感心しません。頭が鬼門線にかかると、不安定になったり、頭痛がしたり、熟睡しにくいとか、あまりさえた状態にならないかもしれません。また、体が鬼門線にかかって寝ているとその部分の故障が起こりやすいです。何も影響を受けない人もいますが、受ける人も少なくないです。

 鬼門には、トイレや水回りをさけて設計されることがあります。これは、暖房設備のあまりない昔から、北東の方位は湿気やすく、カビが生えやすいことから、いつもじめじめしているものを配置するのは、よくないという根拠があるようで、科学的に裏付けがあります。一方裏鬼門は南西で西日が当たる為、冷蔵庫のない昔の時代では、物が腐りやすくなります。食料品を置いたり、火をここで使うのはあまり好ましくないですが、マンションやアパート等の集合住宅、都市の住宅ではやむを得ないこともあります。

 鬼の話にもどりましょう。日本では古くから鬼をテーマとした「鬼むかし」とよばれた昔話に鬼が頻繁に出てくる話があります。日本人の祖霊に対する信仰は昔からあり、伝統的な祭事は祖霊の神を迎えることから始まります。祖霊の中でも日本人を悩ましたのは、荒ぶる神で、日本人の農耕にわざわいをもたらす時、それは、疫病神として人間に対峙しました。鬼は人間に害をなすものとしての一面も備えながら、神としての一面もあるのです。古代の「日本書紀」にあるように荒ぶる神としての鬼は身分の高い豪族の蘇我入鹿の霊が、斉明天皇の葬儀で、大化の改新の時に殺された者の怨念として鬼になって、後の天皇にたたりを及ぼすと考えられました。 

 また、その後の時代の菅原道真は、権力闘争で敗れ、九州の太宰府に流されてその後亡くなり怨霊(鬼)となって、都に出没し、たたりをもたらします。日本人にとっては、鬼は端に悪いことをする悪鬼というだけでなく、時に荒ぶる神となり、後の時代に信仰の対象となります。神に近くなった鬼は鬼神となりこの世を超越する存在となり、意味がさらに拡大して、尋常でない能力を持つ人を鬼才(神が与えた天才)という表現をして尊敬しました。日本人は、善悪という二元論の一方にいる悪としての鬼だけではなく、善悪を乗り越えた尊敬すべき対象としての鬼を迎え入れる懐の深さを古代から持っていたのです。
 
 国語学、日本語学の研究者の大野晋氏(1919~2008年、『日本語練習帳』などのベストセラーを書いた。)は日本語をタミル語由来であるという説を唱えていましたが、日本では鬼を「おに」と呼ぶ以前に「もの」と呼んでいたのに平安時代末期に「おに」の読みにとって代わられたことを指摘し、さらに大野晋氏はタミル語でも「鬼」は女性からなるものと考えられ、日本語の鬼は、中国の道教が伝わって広まる以前の弥生時代から南インドにおける鬼(モノ)を恐れる観念(怨霊信仰)が伝わり、その鬼の由来となったと考えました。

 次回は、中国での鬼に対する古くからの考えをまとめ、仏教の中での鬼の位置を考えましょう。
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観音寺りえ

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